原価計算を“たこ焼き”で学ぶ!簿記1級レベルをわかりやすく解説
「たこ焼き1舟600円って、原価どれくらいなんだろう?」
そんな何気ない疑問から、簿記1級の原価計算をリアルに学んでみましょう。
今回は、屋台のたこ焼きを例にして「直接費・間接費」「原価率」「損益分岐点分析」まで、わかりやすく解説します。
◆ たこ焼き屋の“原価”を分解してみよう
簿記1級で学ぶ原価計算の基本は「製品にかかったコストを正確に把握すること」。
たこ焼き屋さんでいえば、1舟(8個入り)を作るために必要な費用を洗い出すことが最初のステップです。
| 費用項目 | 内容 | 分類 |
|---|---|---|
| 小麦粉・タコ・卵・ソースなど | 材料そのもの | 直接材料費 |
| 焼くスタッフの人件費 | 焼く作業に直接かかる | 直接労務費 |
| ガス代・鉄板の減価償却・屋台のレンタル料 | 間接的にかかる | 間接費 |
この3つを合計すると「製造原価(Product Cost)」になります。
◆ たこ焼き1個の原価を計算してみた
仮に、1時間で50舟分を焼く屋台を想定して、ざっくりと原価を計算してみましょう。
- 小麦粉・タコなどの材料費:1舟あたり 180円
- 人件費(時給1,200円で1時間に50舟):1舟あたり 24円
- ガス・鉄板・屋台コストなどの間接費:1舟あたり 50円
これらを合計すると…
1舟の原価 = 180円 + 24円 + 50円 = 約254円
たこ焼き1舟を600円で販売しているとすれば、
粗利益(売上-原価)は 346円(利益率約58%) になります。
◆ 原価率と利益の関係を考える
飲食業では、よく「原価率」という指標を使います。
これは「売上に対して、原価がどのくらいの割合を占めるか」を表します。
計算式は以下の通りです:
原価率 = 原価 ÷ 売上高 × 100
今回の例なら、
254円 ÷ 600円 × 100 = 約42%
つまり、売上の約4割が原価に消えていくということ。
このバランスが悪いと、いくら売っても利益が残りません。
◆ 損益分岐点を“たこ焼き屋”で考える
簿記1級の原価計算で重要なテーマが「損益分岐点分析」。
これは「売上がどれだけあれば、利益ゼロ(トントン)になるか」を求める考え方です。
仮に屋台の固定費(出店料・光熱費など)が1日5,000円だとします。
1舟あたりの貢献利益(=販売価格−変動費)は600円−254円=346円。
損益分岐点販売数量は、
5,000円 ÷ 346円 = 約15舟
つまり、1日15舟売れば黒字ライン突破ということになります。
これが簿記1級で学ぶ「損益分岐点分析」の実例です。
◆ 原価計算の本当の目的は「意思決定」
簿記1級で学ぶ原価計算は、単なる数字の暗記ではなく、
「経営の意思決定に使える知識」です。
たとえば:
- たこ焼きの値段を650円にしたらどうなるか?
- 仕入れタコの価格が上がったら利益は何%下がる?
- 新メニューを作るなら、原価率をどのくらいに抑えるべき?
こうした経営判断を支えるのが、まさに原価計算です。
簿記1級を学ぶことで、現実の商売を“数字で見抜く力”がつきます。
◆ 勉強のモチベーションも“リアル”に感じよう
「原価計算は抽象的で難しい」と感じる人も多いですが、
たこ焼きのような身近な題材で考えると、グッと理解が深まります。
屋台のたこ焼きも、スーパーの総菜も、カフェのコーヒーも、
すべて「材料費+人件費+経費=原価」でできています。
日常の“値段の裏側”を読み解くことこそ、簿記1級の真の面白さ。
◆ まとめ:たこ焼き1個にも“簿記1級の知識”が詰まっている
- 原価計算の基本は「直接費」「間接費」の区分
- 原価率を把握すれば、価格設定の根拠がわかる
- 損益分岐点分析で、何舟売れば黒字か判断できる
たこ焼き1個の中にも、原価計算のすべてが詰まっています。
勉強中のあなたも、今日からたこ焼きを食べるときはぜひ考えてみてください。
「この1個、原価いくらなんだろう?」と。
それが簿記1級の第一歩です。